【研究目的】

 本制作では、恐怖についての経験に基づく固定観念を調査し、自己理解を深めることを目的としている。制作物の共通点や世界観から、その根底にある経験、固定観念を調査する。また、そこから得られた恐怖の根源を可視化する。




【研究概要】

 文献などから、人はどのような時に恐怖を感じるのかを調査する。また私自身が恐怖を感じる要素を細分化し、調査する。調査結果をもとに、自分自身の恐怖を表現する画像・映像・音声作品を制作する。制作物から恐怖心に影響を与える自身の経験や価値観を調査する。


【恐怖と快感の関係】

 人は恐怖そのものを楽しむことができる。恐怖の身体的反応は、アドレナリンが大量放出され、交感神経が活発化し興奮状態になる。快感とも感じられる状態である。加えて、恐怖は脳内麻薬とも呼ばれるエンドルフィンの放出も促す。エンドルフィンは、鎮静作用と快感をもたらす神経伝達物質である。ホラーを見ることが常習的となり、より強い刺激を求めるようになる、いわゆる「ホラー中毒」は、エンドルフィンの仕業として知られている。  さらに、恐怖の座と考えられている扁桃体は、同時に快楽のでもある。扁桃体の右側が恐怖を司り、左側が快楽を司っていると考えられている。脳画像を脳用いた研究では、不安障害の子供では、扁桃体の左半分が小さく、右側が大きくなっていることが見出されている。子供が恐怖を楽しむためには、自分が安全だと感じる、そして恐怖の反応をコントロールできるという条件が必要である。  恐怖自体が快感を伴っているために、人はホラーに惹かれるのである。人間はもともと恐怖を楽しめるようにできているのだ。   参考:戸田山和久 「恐怖の哲学 ホラーで人間を読む」 2016 年1 月10 日 NHK 出版